ミッション

フランス・パリに本部のあるパスツール研究所 Institut Pasteur (IP) は一世紀以上にわたり、感染症との闘いをリードしてきました。

日本とパスツール研究所とのサイエンスにおける交流を強化するために、2002年に日本パスツール友の会(Association of friends of the institute Pasteur)が発足されました。その後、2005年に非営利活動法人日本パスツール協会(Association Pasteur Japon)として活動を開始しました。日本パスツール協会は10年にわたり、日本の若手研究者がパスツール研究所でポスドク研究員として研究するための資金援助を在日フランス大使館と共同で行いました。2016年、パスツール研究所は日本での活動拡大及びガバナンス向上のため、日本パスツール財団 (Fondation Pasteur Japon) を設立しました。日本パスツール財団は生命科学分野の研究を促進し、一般市民への科学的知識の普及を促進することを目的としています。また同年、パスツール研究所は日本の研究機関との研究開発を強化するため、東京大学医科学研究所と京都大学大学院医学研究科附属ゲノム医学センターにおいて、2つのパスツール国際ユニット(PIU)を設立しました。

2020年、パスツール研究所は、パリ本部の国際部門および産学連携部門の下に、Dr. Anavaj Sakuntabhai(アナワシ・サクンタパイ)を所長とするパスツール研究所日本事務所を設立しました。その目的は、既存の共同研究を強化すること、新たな共同研究を促進すること、そして日本におけるパスツール研究所およびフランスでの科学の知名度を高めることによって、日本におけるパスツール研究所の使命を達成することであります。2023年1月、日本パスツール財団は、パスツール研究所日本事務所及びパスツール国際ユニットの活動を支援し、日本パスツール研究所Institut Pasteur Japonおよび日本パスツール研究所イノベーションセンターを設立するために再編成されました。

アナワシ・サクンタパイ
MD, DPhil

アナワシ・サクンタパイ教授(医師、医学博士)は、感染症の遺伝学に関するプログラムを開発するために2000年パリ・パスツール研究所に採用され、2020年よりパスツール研究所日本事務所長を務めている。

彼は、デングウイルス感染症の遺伝子発現と重症度に関連するDC-SIGNのプロモーター上の変異体を発見した。また、マラリア感染症におけるG6PD(グルコース6リン酸脱水素酵素)の変異がPlasmodium vivax原虫密度に及ぼす影響に関する重要な発見をScience誌に発表した。最近の研究では、マラリアとデング熱の感受性には遺伝子間相互作用と遺伝子-環境間相互作用の両方が重要な役割を果たしていることを示した。彼は、マラリアとデング熱という2つの重要な感染症に対する遺伝的感受性に関するプロジェクトを、フランス、タイ、キューバ、セネガルのチームを率いて成功させた。また、パスツール研究所国際ネットワークにおいて、デング熱研究の世界的ネットワークをコーディネートした。無症状のデング熱感染者がウイルスを蚊に媒介することを証明し、デング熱のサーベイランスとコントロールに大きな影響を与えた。さらに、無症候性感染では症候性感染に比べてT細胞が非常に活性化されることも発見した。この2つの発見は、一価のデング熱およびジカ熱ワクチンの開発という新しい概念につながった。

国際的なプログラムのコーディネーションにも豊富な経験を持ち、欧州のFP7プロジェクト「Dengue Framework for Resisting Epidemics in Europe(DENFREE)」のコーディネーターを務めている。最近世界的にアウトブレイクが発生した2つの感染症、エボラ出血熱とジカ熱の調査にも携わった。現在は、NIHから数百万ドルの支援を受けた、パスツール国際新興感染症研究センター(PICREID)のリーダーを務めている。このプロジェクトは西アフリカ、中央アフリカ、東南アジアで実施され、大規模な観察に基づいた多施設コホート研究と基礎科学研究を結びつけ、この地域における新たな感染症の流行に対する備えを強化することにつながっている。最近では、日本、フランス、アフリカおよびインド太平洋地域の国々との間で、新興感染症に関する学際的ネットワークを構築するため、パスツール研究所の日本事務所長に任命された。現在、マギル大学ゲノムセンター兼任教授、京都大学ゲノム医科学研究センター客員教授、東京大学医科学研究所客員教授、長崎大学客員教授。